ラブパッション
それと同時にドアが開き、白いタキシードを身に着けた瀬名さんが姿を現した。


「あ。優に夏帆ちゃん。来てくれてたんだ?」


彼は軽い足取りで室内に入ってくる。


「おめでとうございます、瀬名さん!」


私が声を弾ませると、彼は口元に手を遣って、ブブッと吹き出した。


「……なんだよ?」


優さんが、訝し気に眉間に皺を寄せる。


「いや」


瀬名さんは、私と玲子さんを順繰りに見遣った。


「なかなかすごいメンツが集まったよな。恋人シャッフルした俺たちが、一同に会せるとは。みんな鋼の心臓の持ち主」

「……バカか」


軽い上に面白そうな瀬名さんに、優さんが苦い顔で溜め息をつく。
玲子さんも私も、顔を見合わせて苦笑した。


「玲子、君、本当に瀬名でいいのか?」

「これも、明彦なりの緊張隠しなのよ」


ふふっと微笑む玲子さんに、優さんも何度か頷いて返す。


「幸せになれよ、今度こそ」


優さんの穏やかな祝辞に、玲子さんも嬉しそうに目を細める。
少し離れたところで二人のやり取りを見ていた瀬名さんが、腕組みをして近寄ってきた。
それを見て、優さんが彼に向き直る。
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