ラブパッション
――周防さん、結婚してるんだ。
なんだかドキドキして、妙に落ち着かない気分になる。
午前中、隣の周防さんの左手薬指をチラッと確認して、そこに結婚指輪がないのはすでに知っていた。
だからこそ、今の今まで彼が既婚者だと思わず、私は意識してしまっていた。
あの時の彼が本当に周防さんかどうか、決定的な証拠はないけれど……。
私にとっては、完全なる一夜の過ち。
そして、既婚者の彼には、絶対許されない軽はずみな遊びだ。
人に知られて困るのは、彼の方。
今朝、確かに私に気付いた様子だったのに、その後はおくびにも出さず、『初対面』という態度を貫くのは、私が確認しようとするのを警戒しているからだろう。
でも、周防さんの方がそうしてくれるなら、私にも好都合だ。
だって、いくらなんでも、酔った勢いであんなことしてしまうなんて。
自分でも信じられないし、信じたくないんだから。
まさかの『再会』で、正直、彼の顔を見た瞬間は生きた心地もしなかったけど、ただの上司と部下の関係を築いていけばいい。
それが正しいし、絶対的に安全。
そう思うのに、どうして……。
彼が結婚してるのを知って、どうして私はショックを受けているんだろう。
なんだかドキドキして、妙に落ち着かない気分になる。
午前中、隣の周防さんの左手薬指をチラッと確認して、そこに結婚指輪がないのはすでに知っていた。
だからこそ、今の今まで彼が既婚者だと思わず、私は意識してしまっていた。
あの時の彼が本当に周防さんかどうか、決定的な証拠はないけれど……。
私にとっては、完全なる一夜の過ち。
そして、既婚者の彼には、絶対許されない軽はずみな遊びだ。
人に知られて困るのは、彼の方。
今朝、確かに私に気付いた様子だったのに、その後はおくびにも出さず、『初対面』という態度を貫くのは、私が確認しようとするのを警戒しているからだろう。
でも、周防さんの方がそうしてくれるなら、私にも好都合だ。
だって、いくらなんでも、酔った勢いであんなことしてしまうなんて。
自分でも信じられないし、信じたくないんだから。
まさかの『再会』で、正直、彼の顔を見た瞬間は生きた心地もしなかったけど、ただの上司と部下の関係を築いていけばいい。
それが正しいし、絶対的に安全。
そう思うのに、どうして……。
彼が結婚してるのを知って、どうして私はショックを受けているんだろう。