ラブパッション
私の質問に、みんな矢継ぎ早に答えてくれる。
奪う、だなんて、どう聞いたって穏やかじゃない言葉に、私は絶句した。
「あれだけの『好物件』だもの。別れるの待って仕掛けるんじゃ、先越される可能性が高い」
周防さんが奥様と別れるのを待ってるだけじゃ、遅すぎる。
そういう意味合いの言葉に、みんなが大きく頷いて同意している。
一人ついていけず、ポカンとしている私を、クスクスと笑う。
「椎葉さんってピュアだね。人を疑ったこと、なさそう」
「ほんと。でも、ちょっと危なっかしいかな」
倉庫勤務の時のおばさんたちではなく、同年代の女性の同僚にまで、そんな心配をされてしまう自分が、ちょっと情けない。
やっぱり私、これから東京で生活していくにしては、呑気で頼りないんだろうな。
そう思われないように、もっとしっかりしないと……。
ここでも、この先への不安が掻き立てられた。
その時。
「そう言えば、彼氏いるの?」
不意打ちでそんな質問をされて、私は思わず口ごもった。
正直に『いない』と言おうとして、菊乃から聞いた長瀬さんの話が、瞬時に脳裏を過った。
奪う、だなんて、どう聞いたって穏やかじゃない言葉に、私は絶句した。
「あれだけの『好物件』だもの。別れるの待って仕掛けるんじゃ、先越される可能性が高い」
周防さんが奥様と別れるのを待ってるだけじゃ、遅すぎる。
そういう意味合いの言葉に、みんなが大きく頷いて同意している。
一人ついていけず、ポカンとしている私を、クスクスと笑う。
「椎葉さんってピュアだね。人を疑ったこと、なさそう」
「ほんと。でも、ちょっと危なっかしいかな」
倉庫勤務の時のおばさんたちではなく、同年代の女性の同僚にまで、そんな心配をされてしまう自分が、ちょっと情けない。
やっぱり私、これから東京で生活していくにしては、呑気で頼りないんだろうな。
そう思われないように、もっとしっかりしないと……。
ここでも、この先への不安が掻き立てられた。
その時。
「そう言えば、彼氏いるの?」
不意打ちでそんな質問をされて、私は思わず口ごもった。
正直に『いない』と言おうとして、菊乃から聞いた長瀬さんの話が、瞬時に脳裏を過った。