ラブパッション
さらにふて腐れた気分で、ついつい唇を尖らせてしまう私の横で、彼は肩を揺すって笑っている。


「俺からしたら、君の方こそ相当な小悪魔だ」

「っ……」


せっかく鎮めようとした鼓動が、また大きくドッキンと跳ね上がる。
柔らかく微笑む周防さんに、私は思わず目を奪われてしまった。


だから、そういうところが……!と、強く反論したいのに、急速に高鳴る胸が苦しくて、私は一言も発することができない。
結局、頭からしゅ~っと湯気が立ちそうなくらい顔を赤くして、無言で俯いて逃げるのが精いっぱいだった。


そんな私を見て見ぬふりをしてか、周防さんが「さて、と」と話題を変えるように呟く。


「休憩終わり。続き、始めよう」


さっさと先に立って、会議室に戻っていく。


「あっ……」


私も、慌てて彼の背を追った。
再び二人きりの会議室で、周防さんはすっかり仕事モードに切り替わっていた。
彼はさっきまでと変わらず、丁寧に実務指導をしてくれる。


だけど私は、頭のスイッチを切り替えられない。
さっきの周防さんの言葉が気になって、相変わらず集中力は散漫で……。


もちろん、それはしっかりと周防さんに見透かされていた。
私はいくつかのシークレット個人情報を、暴露する羽目になった。
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