ラブパッション
職場で二十代は私だけ。
いつも、作業服のおじさんや恰幅のいいおばさんに囲まれていた。
みんなに『夏帆ちゃん』と呼ばれ、可愛がってもらいながら、のほほんと総務事務をこなしてきた。
仕事が面白いとか、やりがいがあると思ったことはないけど、環境に不満はなかった。
職場まで家から車で十分だし、ほぼノー残業。
自分の時間はたっぷりあるし、昔からの友達もたくさんいる。
実家暮らしだから、お給料は生活費を入れる以外は自分の自由に使える。
キャリアウーマンになろうなんて思ってないし、そもそも私には向いていない。
ある程度働いて、時期が来たら、地元で普通に結婚する。
上昇志向は皆無。
でも、周りの友人もみんなそうだし、私にとっても当たり前の未来予想図。
私の人生の大事なものは家族にシフトして、平凡に幸せに過ごせればいい――。
なのに、昨年倉庫の閉鎖が発表され、同僚たちは散り散りになることが決まった。
私は、できるだけ近くの支社とか、事業所への配属を希望したのだけど、二十代で三年目という若さが祟って、東京本社勤務の人事発令が下されてしまった。
みんなも、『夏帆ちゃんが東京!?』と、驚きを隠せずにいた。
スタイリッシュでエネルギッシュなダイバーシティという印象の都会で、田舎者の私がやっていけるのか、心配してくれたから。
私は、のんびりした性格の上、見た目もふわふわだ。
いつも、作業服のおじさんや恰幅のいいおばさんに囲まれていた。
みんなに『夏帆ちゃん』と呼ばれ、可愛がってもらいながら、のほほんと総務事務をこなしてきた。
仕事が面白いとか、やりがいがあると思ったことはないけど、環境に不満はなかった。
職場まで家から車で十分だし、ほぼノー残業。
自分の時間はたっぷりあるし、昔からの友達もたくさんいる。
実家暮らしだから、お給料は生活費を入れる以外は自分の自由に使える。
キャリアウーマンになろうなんて思ってないし、そもそも私には向いていない。
ある程度働いて、時期が来たら、地元で普通に結婚する。
上昇志向は皆無。
でも、周りの友人もみんなそうだし、私にとっても当たり前の未来予想図。
私の人生の大事なものは家族にシフトして、平凡に幸せに過ごせればいい――。
なのに、昨年倉庫の閉鎖が発表され、同僚たちは散り散りになることが決まった。
私は、できるだけ近くの支社とか、事業所への配属を希望したのだけど、二十代で三年目という若さが祟って、東京本社勤務の人事発令が下されてしまった。
みんなも、『夏帆ちゃんが東京!?』と、驚きを隠せずにいた。
スタイリッシュでエネルギッシュなダイバーシティという印象の都会で、田舎者の私がやっていけるのか、心配してくれたから。
私は、のんびりした性格の上、見た目もふわふわだ。