ラブパッション
恋する覚悟
歓迎会は二次会でお開きになった。
金曜日で、明日の心配をしなくていいせいか、若手の先輩たちが、三次会に行こうと元気に言い出した。
菊乃と笹谷君も、「今夜はオールだ!」と、意気揚々とカラオケに繰り出していく。
「ほら、夏帆、行くよ!」
菊乃に手招きされて、私もみんなと一緒の方向に足を向けた。
でも、周防さんがみんなから離れて駅の方向に歩いていくのを見つけて、足を止める。
一瞬逡巡して、思い切ってその後を追いかけた。
先を行く周防さんは、横断歩道を渡って通りの向こう側に辿り着いたところ。
歩行者信号が点滅するのを見て、私は一気に走り出した。
そして、なんとか信号が変わる前に渡り終え……。
「周防、さんっ……!!」
人混みに見え隠れする背中を見失ってしまいそうで、私は身体を折って声を振り絞った。
私の声に気付き、周防さんは立ち止まった。
ゆっくりと、振り返ってくれる。
「なんだ……椎葉さん?」
他の通行人の邪魔にならないよう、歩道の脇に寄って私を見ている。
私はもう一度ダッと駆け出して、彼の前でピタリと足を止めた。
「カラオケ、行かなかったのか?」
あの後、周防さんは係長に飲まされていた。
やっぱり酔っているのか、ほんの少し頬が赤い。
優しい笑みを湛えた目元に、いつもより強い大人の男の色気が匂い立っている。
金曜日で、明日の心配をしなくていいせいか、若手の先輩たちが、三次会に行こうと元気に言い出した。
菊乃と笹谷君も、「今夜はオールだ!」と、意気揚々とカラオケに繰り出していく。
「ほら、夏帆、行くよ!」
菊乃に手招きされて、私もみんなと一緒の方向に足を向けた。
でも、周防さんがみんなから離れて駅の方向に歩いていくのを見つけて、足を止める。
一瞬逡巡して、思い切ってその後を追いかけた。
先を行く周防さんは、横断歩道を渡って通りの向こう側に辿り着いたところ。
歩行者信号が点滅するのを見て、私は一気に走り出した。
そして、なんとか信号が変わる前に渡り終え……。
「周防、さんっ……!!」
人混みに見え隠れする背中を見失ってしまいそうで、私は身体を折って声を振り絞った。
私の声に気付き、周防さんは立ち止まった。
ゆっくりと、振り返ってくれる。
「なんだ……椎葉さん?」
他の通行人の邪魔にならないよう、歩道の脇に寄って私を見ている。
私はもう一度ダッと駆け出して、彼の前でピタリと足を止めた。
「カラオケ、行かなかったのか?」
あの後、周防さんは係長に飲まされていた。
やっぱり酔っているのか、ほんの少し頬が赤い。
優しい笑みを湛えた目元に、いつもより強い大人の男の色気が匂い立っている。