出会いはいつも突然なのです!
その後、話を聞いたところ牛見先生は、俺と大空さんのいないホームルーム中に昨日のことを言ったらしい。
要するに、俺らのクラスは全員、俺の告白を知っているということになる。
「マジでありえない」
大空さんは大層ご立腹で、早退した。
俺は男女問わず集中砲火にあい、疲労が半端ではない。
そしてようやく放課後になり、俺は足早と家に帰った。
学校に居てもいいことないし、今日は塾がある。
去年の終わりごろから通い始めた、個別指導塾。
行きたくない、と言ったが許してもらえず、強制的に入れられた。
週二回で、英語と数学だ。
「まだギリギリ赤点じゃないのに、行かなくていいだろう」
そんなことを思いながら、塾の宿題に取り掛かる。
書店で売っているのを見たことがない教材で、何を答えればいいのかすら分からない。
「日本人なのになんで英語なんて勉強しなきゃならんのだ」
ため息混じりに答えを広げて写す。
悪いことしてるって思ったかもしれない。でも、仕方がない。
この教材は俺に合ってない。マジで意味がわからん!
そうこうしているうちにも時間はすぎ、塾に行く。
「はぁぁ」
自転車を漕いで十分ほどの所にある塾に着く。
「正直、先生に会いに来てるようなもんだよな」
そう呟きながら、塾に入る。
「こんばんは」
教室長が声をかけてくる。少し気持ち悪さが覚える容姿をしている。俺はそれを会釈することでやり過ごし、生徒証を取り出す。生徒証についたQRコードを機械に翳し、塾に入ったことを証明する。
「それじゃあ頑張ってね」
その声掛けも無視して、俺は指定された席へと向かう。
「あっ、こんばんはー」
少し間の抜けたような、明るい声が耳朶を打つ。
「こんばんは」
少し照れくささを覚えるが、小声で答える。
すると、俺を担当する女子大生の姫川羊(ひめかわ-よう)先生は満面の笑みを浮かべた。