出会いはいつも突然なのです!
2
翌日、俺は寝坊した。
昨日の告白を気にしすぎて寝れなかったのだ。
「やっちまったぜ」
少し寝癖が残った髪を掻きながら、学校までの道を走る。
まぁ、既に1時間目は遅刻確定なんだが……。
「1時間目、なんだっけな」
学校を目前にして、踏切に捕まる。
頼むから、昨日のことはバレてないように……。
轟音とともに電車が過ぎ去り、遮断機が上がる。その瞬間。
「あっ……」
いまあまり聞きたくない声が、聞こえたような気がした。
聞こえなかったことにしよう。
止めていた足を前へと進める。
「昨日は……その……」
だが、その足取りを止めるように声を投げ掛けられる。
「嘘だよな?」
独り言ち、ゆっくりと振り返る。すると、そこには昨日、俺が勢いで告白をしてしまった女子生徒がいた。
胸元につけている名札には大空(おおぞら)と書いてある。
「あれで助けてくれたんだよね?」
「……え?」
大空さんは俯いているが、耳まで真っ赤にしているのは分かった。
「だから、私が怒られているのを……あの言葉で助けてくれたんだよね?」
え、えっと……。これはどういう解釈なんだ?
全く以て理解出来ない自体に目を丸くしていると、大空さんこ表情が少しくもる。
「も、もしかして……本気とかじゃないですよね?」
本気か本気じゃないかで言われると、本気かもだけど……。
そんなこと言えるわけないだろ!
「ははは、まさか……そんなわけ」
「そうですよね」
大空さんの表情が明るくなる。
俺に好かれるって嫌なことなの?
そんな不安を覚えていると、大空さんはにこりと笑い頭を下げた。
「昨日はありがとうございました」
「い、いえ……」
あぁ、なんだがすごく虚しい……。
お礼を言われて空虚になる。
俺はいま、初めてそんな感覚を覚えた。