出会いはいつも突然なのです!

先を歩く大空さん。
まぁ、行き先が一緒だから仕方ないんだけど。何だか居心地が悪いというかなんて言うか……。

「あ、あのー、自己紹介とかしておきます?」

踏切を越え、少し歩くと校門が見えてくる。その少しの間での会話。

「そ、そうですね」

何も話さなくてもいいんだけど。まぁ、一応同じ学校だし。

「俺は子津。子津将人」

「将人くんね。私は辰己(たつみ)。大空辰己よ」

「大空さんか。学年は?」

「2年よ」

「えっ、マジで?」

まさかの同学年。いやはや、なんて言うか。嬉しいような、嬉しくないような。
正直、大空さんのことが好きか嫌いか、と言われると多分好きだ。ほんと、自分でも意味わかんないけど、多分一目惚れをした。
怒られている姿を見ただけで、好きになる要素なんてなかったはず。
あぁ、なんで人は人を好きになるんだろうか。

「本当よ。ちなみにクラスは?」

「3組」

「えぇ!?」

大空さんは素っ頓狂な声を上げ、目をぱちくりさせている。

「な、なに?」

嫌な予感がする……。

「私も3組なんだけど」

やっぱり……。
その場で項垂れる。

「何よ、項垂れたいのは私なんだけど」

「意味わかんねぇ。てか、昨日いなかったよな!?」

「居たよ、職員室に」

「だから、なんで職員室にいるんだよ!」

真顔で訳の分からないことを言う大空さんに、俺は本気でツッコミを入れる。
その時には下駄箱の前に辿り着いており、上履きに履き替える。
やはり大空さんは嘘はついていないようで、大空さんの下駄箱もすぐ近くにあった。

「遅刻したから」

「え?」

「だから、遅刻したの。てか、私ちゃんと登校した事ないから」

「はぁ?」

普通のことが出来ていないらしい、大空さん。
俺には彼女が分からない。
でも、嫌いにはなっていない。驚きはあるものの、むしろもっと彼女を知りたい、と思っている自分がいることに気づいてしまった。
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