出会いはいつも突然なのです!

男性教師には何度か睨まれが、授業はつつがなく終えることが出来た。

「もしかして付き合ってんの?」

前の席の虎太郎が振り返り、俺と大空さんを交互に見ながら訊く。

「そんなわけないでしょ」

キッパリ答える大空さん。
分かっていても心に来るものがあるな……。

「ホントか?」

「あ、あぁ……」

疑いの目を向けてくる虎太郎に頷くと、面白くなさそうな顔を浮かべる虎太郎。

「残念だったな、期待してたのと違って」

「ほんとな」

心底残念そうな声を零す虎太郎に、今度は大空さんが訊く。

「ところで、どうして牛見先生が私たちのクラスにいるの? あの人、学年副主任でしょ?」

「それがさ、今日あかり先生が出張らしくて、代理だそうだ」

「まじか。最悪だな」

話を聞いていたのか、友である慎司が近くによってくる。

「馬宮、お前は聞いてただろ」

遅刻をしていない慎司が端正な顔を歪める。それを見ていた虎太郎がため息混じりにそう言う。

「まぁな。でも、何度聞いても悲しいだろ。あんな美人な先生の顔が見れないとか、何の罰ゲームだよ」

俺なんかが言えば、間髪入れずにキモっ、という言葉が投げかけられそうな台詞。しかし、ハイスペック野郎である慎司が言うと、やらしさなど微塵も感じられない。
これがイケメンとそうでない人の違いだな。

「そうね。私もあのすぐ怒る牛見先生は嫌いだわ」

「すぐ怒るかどうかは知らないけど、あかりちゃんがいいよなー」

慎司は腕を組みながら、うんうん、と頷く。

「おい、大空と子津は今から職員室にこい」

そんな会話をしている時だ。
少し怒りを感じることの出来る声音で、牛見先生が俺たちを呼んだ。
間違いない。遅刻のことを怒るのだろう。
横目で大空さんを確認すると、俺と同じ思考に至ったのだろう。
わかりやすく溜息をついている。

「あれだよね?」

「たぶんね」

俺の問いに大空さんは短く答え、席を立つ。俺も後を追うように席を立つ。

「どんまい」

そんな俺たちを見て、虎太郎はニヤニヤと笑いながら言った。
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