おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
「きれい…
失礼しました、リンネ王女。

午前中から使用人に聞きまわり、少しですが情報を得ることができたので報告させていただきます。

以前、皇太子様の後宮にどこから来たのかわからない若い女性が入宮したそうです。
後宮には限られた使用人しか入れないらしく、また一度後宮の使用人となれば使用人を辞めるか、後宮の女性が出ていくときについていかない限りそこから出られないらしいので、その女性たちがどこから来たのかはわかりませんでした。
他に得た情報は、後宮の使用人になるための選抜試験が1週間後にあるということが…」

正装したリンネの姿に思わず本音が漏れてしまったエリックだったが、その後はしっかりとリンネに頼まれた後宮についての報告をこなした。

エリックからの報告を聞き、どうするべきかリンネが悩んでいるときに恐る恐るメグが声を出した。

「お言葉を挟んで大変申し訳ございません…

私に任せてはもらえないでしょうか?
後宮に使用人として入れれば、中の様子がわかるかと…
幸い、私には隠密の心得があるので、ばれないように王女様に報告することができるかと。

まぁ、受かるかどうかはわからないですが」

「どこから話をすればいいのかわからないけど、少しずつ聞くわ…

私としても中の様子がわかるのは願ってもないことだわ。
そこにアッサム地域の女性がいるなら不当に連れてこられたのだから助けたいもの。

でも、それはメグに負担をかけるってことになるから、私のためにしかたないって思っているのなら、許可はできない」

リンネは隠密の心得については一切触れることなく、メグの意思を最初に聞いた。

「もちろん、一番の思いは王女様のお役にたちたいってことです。
でもそれだけではありません!

私は今までずっとアラン様に守ってもらい、今は王女様に守ってもらっている。

これからもずっと守ってもらうのでなく、自分で何かやり遂げてみたいんです。駄目ですか?」

そこまで言われてしまうと、駄目と言うことができなかったのでリンネは「ありがとう、お願い」と伝え、後宮使用人の選抜試験を受けてもらうことにした。

「皇太子様には謁見のときに私のメイドが試験を受けたがってるってのは伝えとくわ。

それで、もうひとつ質問。
隠密の心得、どこで身に付けたの?
今まで王女として生まれたからいろいろな人に会ってきたけど、隠密の心得を持ってる人に会ったことなんてないわ」

謁見のために移動するまであと5分ほどしか時間がなかったため、メグは簡単にまとめてリンネに自分の過去を話始めた。
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