おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
「私の両親はサハール皇国の暗殺者でした。

エルディール王国のように王政ではないサハール皇国は武力さえあれば国のトップに立つことができるのはご存じですよね?

そういう国では裏家業と呼ばれる暗殺者が少なからず存在します。

暗殺対象にばれないように暗殺する必要があるので、子供であっても仕事に行くことがあります。

私も暗殺者の子どもとして生を受けた時から、両親と同じ生き方で生きていくことが決まっていました。
そのため、幼いときから様々な訓練を受け……

初めて仕事に行ったのは7歳の時です。親のいない孤児として当時、権力を持っていた貴族のもとへ養子という形で行き、半年後に殺しました。
もちろん、家族みんなです。ひとりでも生き残っていると、そこからまた再興してしまうから。

人を殺したのはその時だけです。その後は隠密として貴族の屋敷に忍び込み様々な情報を依頼主に報告する任務についていたので。

後で知ったことですが、どうやら私の両親が子どもに殺しをさせないように私向けの依頼も全てこなしていたそうです。

でも、無理がたったのでしょう。両親はあるとき暗殺に失敗してしまい、暗殺対象に逃げられました。

裏社会に生きている人間に失敗は許されない。失敗をしたものは仲間に見せしめとして殺される。

両親は最後に私をエルディール王国へ逃がし、そのまま殺されたそうです。

本物の孤児となった私をアラン様はメイドとして雇ってくださいました。
もちろん、この話を雇ってもらう前にちゃんとしました。

でもアラン様は「悪いのはメグじゃない、そんなことをやらせる裏社会だ、サハール皇国だ」と言ってくださいました。それからはアラン様が私の後見人となってくれて今に至ります。

この話を聞いて、私のことを見放すのであればそれでも構いません。でもいつかは話さなければいけないことだったので、こんなときですが話せてよかったです」
< 108 / 154 >

この作品をシェア

pagetop