おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
謁見の間の入り口へと案内されると、トーマスはリンネに一礼してその場を去っていった。

謁見の間には限られた人のみ入室を許可されるので、今回は執事長といえども許可されなかったらしい。

謁見の間の入り口を警備しているふたりの護衛によって開けられた扉を進むと、中には既に皇帝と皇太子が席についていた。

リンネは入り口で一礼した後、皇帝たちの前まで歩いていき、足を折ってお辞儀をした。

「本日はこのようにお時間をとっていただき、感謝申し上げます。
エルディール王国より参りました、リンネ・エトワール・スカーレット・エルディールでございます。

こちらにエルディール王国国王から預かった書状がありますので、そちらにお持ちしてもよろしいでしょうか?」

皇帝の許可を得てリンネは間を隔てている階段を昇っていった。皇帝の前に着くと再びお辞儀をして書状を皇帝に渡した。

リンネはもといた場所へ戻ろうとしたが、皇帝が「席を用意するから私の前に座りなさい」と声をかけたので、リンネはその場に待機した。

皇帝が声をかけると、どこからともなく執事長のトーマスが椅子をもって現れ、リンネの近くに椅子をおいて謁見の間を去っていった。

リンネは皇帝に感謝の意を述べると用意された椅子に座った。
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