おてんば姫の手なずけ方～侯爵の手中にはまりました～

「紅茶をお持ちいたしました」

メグは扉をノックした後、中から「入って」という声が聞こえると「失礼いたします」と声をかけて中に入っていった。

クレアが座っている席に手早くクレープシュゼットとメープルティーを用意するとデザートの説明を始めた。

「本日用意させていただきましたものはクレープシュゼットとメープルティーでございます。
クレープシュゼットはクレープをオレンジ果汁で煮詰めたものです。
本来は生のオレンジ果汁を使用するのですが、今回はマーマレードジャムを使用しています。
またアクセントとして今回用意した紅茶と同じ茶葉をクレープシュゼットに使用しています。

メープルティーはメープルの豊かな香りと程よい甘さが特徴の紅茶となっています。
ぜひご賞味ください」

一通り説明を終えた後、メグは「失礼します」とクレアに断りを入れてから先に用意していた一口サイズのクレープシュゼットを口に入れ、毒が入っていないことを確認した。

毒見が終わるとクレアはナイフとフォークを使って一口サイズに切ったクレープシュゼットを恐る恐る口に入れた。

一口、また一口と食べ進めていき、一枚目を食べ終えた後、クレアはナイフとフォークを置き、口を拭いた。

「すごく美味しいわ。
あなたが作ったものは本当においしいわ！

ここだけの話、私あんまり料理長が作る料理って好きじゃなくて、本当に食べられかったときは床に投げ捨てちゃったの…
あっ、いつもやっているわけじゃないからね！
１回しかやっていないから誤解しないで頂戴ね」

メグは料理長が言っていたことは本当のことだったのだと思いながら、いったいどんな料理を作ったのだろうかと疑問に思った。

その後もクレアは次々とクレープシュゼットを食べ進め、最後の一切れまできれいに食べ終えた。

紅茶も２回おかわりをして多めに用意していたティーポットの中にはほとんど紅茶は残っていなかった。

「あっという間に食べちゃったわ。
明日からもずっと食べられたらいいのに…

もし、後宮の使用人に合格したら私専属の使用人にしてもらえるよう殿下に進言するから、ちゃんと合格してよね！」

「私ももっとクレア様のお世話をしたいです。
もし合格していたらその時はよろしくお願いしますね」