おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
メグはクレアと他愛のない会話をした後、ティーセットを片付けるため厨房に向かった。

ティーセットを片付け終わったメグは再びクレアの部屋を訪ね、親睦を深めるためのパーティーに備えて準備を始めた。

先ほどまで着ていたデイドレスとは比べ物にならないくらい豪華なドレスを持ってきたメグに思わずクレアは苦笑いをしながら言葉を続けた。

「メグ、私の年齢知っているよね?
さすがにそのドレスはちょっと…」

お願いだからほかのドレスにしてほしいと淡い期待を込めながらメグに伝えたがメグは決して首をたてには振らなかった。

「クレア様、幼さの中に見える美しさを表現するためにはこのドレスは欠かせません!
なので何があろうとこのドレスを着てもらいます」

これは何を言っても無理だと観念したクレアはおとなしくメグが用意したドレスを着ることを承諾した。

「ちょっと、きつく締めすぎ!
もっと緩くして、息ができない!]

先ほどまで着ていたデイドレスの時はそこまできつくコルセットを締めていなかったが今回は容赦しませんと言わんばかりにメグは力の限りコルセットを締めた。

「これくらい締めた方が美しく見えるので辛抱してください。
きれいに見せるためには我慢は必要です」

「メグの鬼…!」

クレアは精一杯メグに反抗したがメグはそれくらいなんてことないと言わんばかりに、一度締めたコルセットを緩めることはしなかった。

緑のグラデーションになったドレスを着るとクレアはそのまま椅子に座らせれ、髪のセットが始まった。

「今回のドレスに合わせてあえて髪はアップにはしないで軽く流すような感じに仕上げさせていただきます。
その方が艶っぽくなるので」

メグは手際よくクレアのまっすぐな髪にカールをかけていくと全体を緩くまとめた。

最後に化粧をということになり、メグはクレアに化粧を施した。

いつもクレアがしてもらっている化粧は幼い顔が残るような薄い化粧だが、この日はばっちりと化粧が施された。

ばっちりと化粧が施されたといっても無駄に塗りたくったような厚化粧ではなく、メリハリをつけた化粧は化粧をしてもらった本人でさえ鏡に映っているのが誰だかわからなくなった。

「鏡に映っているのは当たり前だけど私よね?

自分で言うのもおかしいけれど私じゃないみたい」

メグによって完璧にドレスアップされたクレアの姿は10代には見えないほど艶っぽかった。

しかしよく見るとクレアが本来持っているあどけなさを感じることができた。
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