おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
本来であれば、正式な場を設けて婚約者の紹介をするはずなのだが、ひょんなことからふたりは路地裏で、それもスラム街の路地裏という貴族や王族が立ち入るはずの無い場所でであってしまったのだった。

しかも相手を罪人や最低男と思ったりしていて、ふたりの出会いは相当最悪なものだった。

変な出会い方をしただけでなく、レース編みの先生もその婚約者の母親となんともきっても切り離せないものであった。

「俺は、貴女が自由に動き回るのを認めることはできない。今回は俺がいたから先程の件はそこまで大事にならなかったが、もしも俺があの場にいなければどうなったかわからない。
今回は運が良かっただけで、次も生きて帰れるとは限らない。

どこかに行くのならば俺がついていってやる。
結婚した後でならの話だが」

ただの口の悪い最低男だと思っていたにも関わらず、自分のことを守るといっているようなその口ぶりは優しそうな紳士だった。
先程とはうってかわったその態度に困惑したリンネはとりあえず「ありがとう」と引き笑いをした。

「母上、私はもう時間なのでここで。
リンネ王女、母上のことをよろしくお願いいたします」

エリックが応接室を出ていったあと、リンネとソフィアも出ていった。
ふたりはリンネの部屋に行き、リンネはソフィアにレース編みを教えてもらうことにしたのだ。
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