おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
「リンネ王女、ここはこちらの方にかけるのです。
もう少しレース糸を引っ張りながら編んだ方ができあがったときに綺麗なものになりますよ」
ほぼ初めてに近いレース編みではあったが、リンネはどうにかほんの少し形になってきた。
その出来ばえはこのまま編み続けてもきれいにできるような代物ではなかったが、少しでも形になったことがリンネにとってはとても嬉しいことであった。
「リンネ王女!
少しずつですが形になってきましたね。
そうだ、目標を決めてみませんか?
例えば婚礼衣装の一部に自分の編んだものを使ってみるとか?
まだまだ時間はあるのですから、きっとできるはずですわ」
ソフィアの思ってもいなかった提案にリンネは驚きながらも頷いた。
「そうね、それも楽しいかもしれないわね。
ソフィア様、ふたつお願いがあるのですが、私のことをリンネ王女とは言わないでください。
ここではソフィア様が私の先生なのですから。教えてもらっている方が王女なんて敬称をつけられているのは変ですし…
あともうひとつのお願いは、今ではないのですがいつかもっと難しい編みかたを教えてください。
自分で使うものならば、少しでも美しいものを着たいので」
ソフィアはふたつめのお願いに関してはすぐに快諾した。
しかし、呼ぶときに王女という敬称を外してほしいというお願いに関してはすぐに快諾することはなかった。
「いくらリンネ王女のお願いでもそれは致しかねます。
リンネ王女の方が私よりも身分が上にも関わらず、敬称を外して呼ぶなんてやはり無理です。
むしろリンネ王女が私を呼ぶ際に、ソフィア様と言われるのですが、私のことはソフィアとお呼びくださいませ。
王女様から様で呼ばれるなど、とても恐れ多いことです」
「わかったわ。
それじゃあ、私はソフィアさんと呼ぶから、ソフィアさんは私のことをリンネさんと呼んでくれない?
やっぱり、お互いが王女とか様をつけて相手のことを呼んでいるとどうしても壁ができてしまうと思うの。
いつかは私のお義母様になるのだから、少しぐらい砕けていてもいいと思うの。
ここが男性達が議論している議会場であるならば目上のものに対する敬称をはずすことなどあり得ないけれど、ここは私の部屋でしょ?
さぁソフィアさん、レース編みの続きをしましょう」
なんだかリンネに上手く言いくるめたような感じが否めなかったが、ソフィアは「リンネさん」と呼ぶことに同意した。
もう少しレース糸を引っ張りながら編んだ方ができあがったときに綺麗なものになりますよ」
ほぼ初めてに近いレース編みではあったが、リンネはどうにかほんの少し形になってきた。
その出来ばえはこのまま編み続けてもきれいにできるような代物ではなかったが、少しでも形になったことがリンネにとってはとても嬉しいことであった。
「リンネ王女!
少しずつですが形になってきましたね。
そうだ、目標を決めてみませんか?
例えば婚礼衣装の一部に自分の編んだものを使ってみるとか?
まだまだ時間はあるのですから、きっとできるはずですわ」
ソフィアの思ってもいなかった提案にリンネは驚きながらも頷いた。
「そうね、それも楽しいかもしれないわね。
ソフィア様、ふたつお願いがあるのですが、私のことをリンネ王女とは言わないでください。
ここではソフィア様が私の先生なのですから。教えてもらっている方が王女なんて敬称をつけられているのは変ですし…
あともうひとつのお願いは、今ではないのですがいつかもっと難しい編みかたを教えてください。
自分で使うものならば、少しでも美しいものを着たいので」
ソフィアはふたつめのお願いに関してはすぐに快諾した。
しかし、呼ぶときに王女という敬称を外してほしいというお願いに関してはすぐに快諾することはなかった。
「いくらリンネ王女のお願いでもそれは致しかねます。
リンネ王女の方が私よりも身分が上にも関わらず、敬称を外して呼ぶなんてやはり無理です。
むしろリンネ王女が私を呼ぶ際に、ソフィア様と言われるのですが、私のことはソフィアとお呼びくださいませ。
王女様から様で呼ばれるなど、とても恐れ多いことです」
「わかったわ。
それじゃあ、私はソフィアさんと呼ぶから、ソフィアさんは私のことをリンネさんと呼んでくれない?
やっぱり、お互いが王女とか様をつけて相手のことを呼んでいるとどうしても壁ができてしまうと思うの。
いつかは私のお義母様になるのだから、少しぐらい砕けていてもいいと思うの。
ここが男性達が議論している議会場であるならば目上のものに対する敬称をはずすことなどあり得ないけれど、ここは私の部屋でしょ?
さぁソフィアさん、レース編みの続きをしましょう」
なんだかリンネに上手く言いくるめたような感じが否めなかったが、ソフィアは「リンネさん」と呼ぶことに同意した。