おてんば姫の手なずけ方～侯爵の手中にはまりました～
毎日のようにソフィアと会っていたために、リンネはエリックの小さいときの話や今の話をたくさん知ることができた。
このことをエリックが知れば、怒ることは目に見えていたのでもちろんエリックに小さい頃の失敗とかをわざと伝えてからかったりすることはできなかったが、他の人がしりえるはずの無いことを知れるというのはなんだか特別な気がして嬉しいことであった。

これは別にソフィアから聞いた話ではなかったが、リンネもエリックの性格をなんとなく理解するようになっていた。
それは、とてつもなく過保護であるということである。今まで自分の母親がこんなに外出することがなかったということもあるのだろうが、エリックは毎日というほど夕方になるとリンネの部屋を訪ね、母親を迎えに来るのだ。
たまにリンネがわざとからかって、「今日は私と一緒に夕食をとるからまだ帰らせるわけにはいかないわ」と笑いながら言うと、エリックは慌てて「それなら待っています。まだやることも残っていますので」と部屋を出ようとすることがあった。

そうすると必ずリンネが「エリック様も一緒に食べましょう」と誘うのだった。

リンネとエリックが一緒にご飯を食べているということは、当たり前だが同じ席についている国王夫妻も見ているということであり、ふたりがそのような関係になっているということがとても喜ばしいことのようであった。

ふたりがスラム街で既に出会っているということを知らなかった国王は一度公式の場として、ふたりが出会う会食を催した。
その時はふたりの相性はまるで磁石のように反発しあい最悪だったので、この先どうなるのかと心配していた。
国王はお酒が入ると毎回のようにこの話をするので、リンネもエリックももう耳にタコができるくらい聞いていた。

「お父様、その話はもういいですわ。
何回も聞いて覚えてしまいましたわ。

お父様、お願いがあるのですが明日１日エリック様とどこかに出かけてもいいですか？」

「あぁ、すまない。
馬車を使って行くのであればいいぞ。
エリックと親睦を深めてくるがよい」

許可をもらえたリンネは笑顔になり、後で話があるとエリックに目で合図をおくった。
エリックもその合図に気がつき、わかったと頷いた。
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