おてんば姫の手なずけ方～侯爵の手中にはまりました～
再び馬を城下町の中心まで走らせ、あと少しでアッサム地域に入るといったところでエリックは馬を止めた。

「もうすぐアッサム地域に入る。
俺もあの時以来一度もこの地域には足を踏み入れていない。
この先に待つものが前と変わっていないかもしれないし、もっとひどくなっているかもしれない。
この件はどうでもいいと思っている貴族や大臣はいっぱいいるからな。
みんな面倒ごとには手を出したくないと思ってるやつらばかり。
この状況に懸念を抱いているのは俺とリンネ、それに一部の下級貴族くらいだ。

それでもここに入る覚悟ができているか？」

生半可な思いで心に傷を負ってしまってはいけないとあらかじめ最悪な状況を伝えた。
「それでも大丈夫」とリンネは深く深呼吸をしてから頷いた。

「ここからは絶対に俺から離れるなよ」

エリックは今一度リンネに注意を促してからアッサム地域へと馬を進めていった。
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