おてんば姫の手なずけ方～侯爵の手中にはまりました～
「ひとつお尋ねしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか？」

自分の身分を明かしていない以上、ここでは少しいい衣装を着た貴族程度にしか見えないだろうと思ったリンネは高圧的な態度をとることなく話しかけた。

そうすると、女性たちは自分のもとへ耳を傾けてくれた。
リンネはどうしてこの地域の再開発がここまで早く進んでいるのか尋ねると、返ってきた返答は予想をしていないものだった。

「どうやら、クリス様という方が以前ここを訪れて、ここの再開発を提案したらしいんですよ。
なんでもどこかの貴族様のご子息らしくて、まだ幼いながらも的確に指示を出していったとか。
しかもその時に今後必要になるだろうからって言って有能な設計技師やら職人を残してくれたんですよ。

ほら、あの茶色い馬に乗ってこっちにやってくる人だよ」

リンネは一度エリックのもとへ戻り、先ほど聞いた話を伝えると今からこっちにやってくるというクリスを待つことにした。
リンネの知っているクリスという名前の貴族は自分の弟であり、この国の皇太子だけであったがまさかそんなはずはないとその考えを払しょくした。

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