おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
リンネが次に目を開けて視界に入ったのは見知れた景色だった。
そこは普段自分がいる場所、自分の部屋だった。誰がここまで運んでくれたのかも、あれからどれくらいの時間がたっているのかもわからなかった。
リンネはゆっくりと起き上がろうと体に力を入れたが、起き上がる前に体が悲鳴を上げてしまい、「うっ」という小さな声を出してしまい、体に力を入れることをあきらめた。
その小さな声にいち早く反応したのはベッドサイドでリンネが起きるのをずっと待っていた侍女のマリアだった。マリアはリンネが意識を取り戻したことに気が付くと、「そのままお待ちください、医者を呼んできます」と大慌てで部屋を出て行った。
マリアは医者と一緒に国王と王妃、そして弟のクリスを連れてきた。クリスはすぐさまリンネに駆け寄ろうとしたが、国王と王妃によって抑えられた。
「クリス、まずは医者の診察が先だ。
話を聞くのはそれからにしろ」
明らかに不満そうな顔をしていたがその言葉に逆らうことはできなかったので、しぶしぶリンネに近寄ることをあきらめた。
「お目覚めになったようですね。リンネ様は10日間も眠ったままだったのですよ。
お体はまだ万全な状態ではありません、なのでしばらくはここから起き上がることができないと思いますが、辛抱してください。
落馬して体全体を強く打ち付けたのですから。
幸い骨折はしていないようですが、手足をはじめとするいくつかの骨にひびが入っています。そのひびが完全に治るまでは決して無理をしないようにお願いいたします」
こんなにもからだが痛いのは落馬の際に体を強く打ち付けたことが原因だった。医者は落馬したにも関わらず、骨折をしていないのは奇跡だといわんばかりだったが、そんなことよりも自分をかばって落馬したエリックのことが心配でたまらなかった。
かばってもらったにもかかわらず、10日間も目を覚まさなかったということは、かばいながら落馬したエリックのけがは相当ひどいのだろうということが予測できた。
「エリック殿は……」
どのように言葉を紡げばいいのかわからないと悩んでいるような医者の言葉を続けたのはクリスだった。
「エリック殿はまだ目を覚ましていません。
今後も目を覚まさない可能性があるらしいです」
その言葉はリンネが何よりも聞きたくない言葉だった。
その言葉を聞いてしまい、リンネの目にはどんどん涙が溢れてきた。溢れだした涙は止まるところを知らず、次から次へとリンネの頬をつたって零れていった。
そこは普段自分がいる場所、自分の部屋だった。誰がここまで運んでくれたのかも、あれからどれくらいの時間がたっているのかもわからなかった。
リンネはゆっくりと起き上がろうと体に力を入れたが、起き上がる前に体が悲鳴を上げてしまい、「うっ」という小さな声を出してしまい、体に力を入れることをあきらめた。
その小さな声にいち早く反応したのはベッドサイドでリンネが起きるのをずっと待っていた侍女のマリアだった。マリアはリンネが意識を取り戻したことに気が付くと、「そのままお待ちください、医者を呼んできます」と大慌てで部屋を出て行った。
マリアは医者と一緒に国王と王妃、そして弟のクリスを連れてきた。クリスはすぐさまリンネに駆け寄ろうとしたが、国王と王妃によって抑えられた。
「クリス、まずは医者の診察が先だ。
話を聞くのはそれからにしろ」
明らかに不満そうな顔をしていたがその言葉に逆らうことはできなかったので、しぶしぶリンネに近寄ることをあきらめた。
「お目覚めになったようですね。リンネ様は10日間も眠ったままだったのですよ。
お体はまだ万全な状態ではありません、なのでしばらくはここから起き上がることができないと思いますが、辛抱してください。
落馬して体全体を強く打ち付けたのですから。
幸い骨折はしていないようですが、手足をはじめとするいくつかの骨にひびが入っています。そのひびが完全に治るまでは決して無理をしないようにお願いいたします」
こんなにもからだが痛いのは落馬の際に体を強く打ち付けたことが原因だった。医者は落馬したにも関わらず、骨折をしていないのは奇跡だといわんばかりだったが、そんなことよりも自分をかばって落馬したエリックのことが心配でたまらなかった。
かばってもらったにもかかわらず、10日間も目を覚まさなかったということは、かばいながら落馬したエリックのけがは相当ひどいのだろうということが予測できた。
「エリック殿は……」
どのように言葉を紡げばいいのかわからないと悩んでいるような医者の言葉を続けたのはクリスだった。
「エリック殿はまだ目を覚ましていません。
今後も目を覚まさない可能性があるらしいです」
その言葉はリンネが何よりも聞きたくない言葉だった。
その言葉を聞いてしまい、リンネの目にはどんどん涙が溢れてきた。溢れだした涙は止まるところを知らず、次から次へとリンネの頬をつたって零れていった。