おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
リンネがエリックの側でエリックの目覚めを待ち続けてもう少しで1年が経とうとしていた。

さすがにここまで目覚めないと、もう二度と目覚めないのではないかと周囲の人たちは考えるようになっていた。
来月には17歳の誕生日を迎えるリンネは今年中に嫁がなければ行き遅れと言われるようになり、結婚することは厳しくなってしまう。

リンネの母親、ナターシャはエリックが目覚めるまで待ちなさいと言ったことをひどく後悔していた。
周囲の人が他の男性との結婚話を持ってきても、リンネは決して首を縦に振らなかった。

結婚話があるたびにリンネは決まって「私はエリック様以外とは添い遂げません」と言うのだった。
挙げ句の果てには、他の男性と結婚するくらいならば修道女になってエリックが目覚めるのを待つという始末だった。
一国の王女が修道女になることは許されることでは無かったので、その発言以降リンネに結婚話を持ってくる人はいなかった。
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