おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
それから数日後、奇跡が起きた。
なんとエリックが手を僅かではあるが動かしたのだった。
その様子をリンネは見逃さなかった。すぐにエリックに声をかけたが、どうやらまだ意識は無いようで声かけに反応はなかった。

それでも大きな進歩には違いなく、リンネはすぐにマリアを呼ぶと、医者とエリックの両親を呼ぶように頼んだ。

医者はすぐにやってきてエリックの状態を確認し出した。
そしてしばらくすると、医者は診断の結果をリンネに告げた。

「回復してきています。
今はまだ意識はないようですが、あと数日すれば目を覚ます可能性が高いと思われます。

これからは目覚めるまで、今まで以上に声をかけてあげてください。その声かけが早く目覚めるための薬になるはずです」

あと数日で目を覚ます可能性が高いと言われ、リンネは涙を堪えることができなかった。
リンネが思いっきり泣いているときに、エリックの両親はいったい何があったのかと医者に掴みかからんというほどに迫った。

医者は先程リンネにした説明をエリックの両親にも説明した。
もうすぐ目を覚ますと言われ、ソフィアの目にも涙が溢れそのまま頬をつたって零れていった。


それからリンネは毎日エリックに呼びかけ続け、ソフィアもまた、いつエリックが目を覚ましてもいいようにリンネの隣で見守り続けた。
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