おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
皇太子になりました
リンネは執務室を後にすると、エリックの部屋へとむかった。
国王から伴侶となるエリックにのみ、自分が皇太子になったことを話していいと言われ、その事を言うためであった。
「エリック様、入りますね」
エリックに一声かけて中に入ると、リンネは少し急ぎ足でエリックの元へと駆け寄った。
エリックはまだ本調子では無かったものの、数日前に目が覚めたばかりとは思えないほどの回復力をみせていた。
「リンネ、そんなに急いでどうした?」
エリックは読みかけだった本を閉じ、そうリンネに声をかけた。
「エリック様にお伝えしなければならないことがあります。
あっ、でもその前にこれを受け取ってください。
本当はもっと早くお渡しするつもりだったのですが…」
リンネがエリックに手渡したものはあの、濃紺色のハンカチだった。
リンネはこのハンカチをずっとエリックに渡したいと考えていたので、自分が皇太子になったという報告よりも先にしたいと思ったのだ。
「ありがとう、これはリンネが編んでくれたんだね?
大切に使わせてもらうよ。
それで、俺に伝えたいことっていったい?」
エリックはリンネからもらったハンカチを嬉しそうに握りしめると、リンネがそこまで急いで何を伝えたいのか、続きを言うように促した。
「実は、先程国王陛下に執務室に来るように言われて行ったら、国王が私を皇太子にすると仰ったのです。
私の知らないうちに弟のクリスが廃太子になっていて、親戚に皇位継承権を譲るくらいならば、女である私に皇位継承権を譲ると言って…
本当はエリック様を婿養子として迎え入れて、次期国王にすることも考えたみたいなのですが、まだ本調子ではないエリック様を皇太子にすることはできなかったらしくて…」
本当はエリックがまた眠ってしまうことを恐れて皇太子に任命しなかったとは伝える事ができなかった。
そんなことを伝えてしまえば、まるでリンネもエリックのことを信じていないのではないかと思われてしまうことを恐れていたからであった。
「まさか、女性であるリンネに皇位継承権がまわってくるとは思わなかった…
クリスが何をしたのかは知らないが、これはチャンスだぞリンネ。
男尊女卑の考えを変えることができるかもしれない」
エリックは自分の伴侶であるリンネが皇太子となったことをまるで自分のことのように喜んでくれた。
エリックは元々リンネには誰よりも政治能力があると思っていたので、このことを心から喜ぶことができたのであった。
国王から伴侶となるエリックにのみ、自分が皇太子になったことを話していいと言われ、その事を言うためであった。
「エリック様、入りますね」
エリックに一声かけて中に入ると、リンネは少し急ぎ足でエリックの元へと駆け寄った。
エリックはまだ本調子では無かったものの、数日前に目が覚めたばかりとは思えないほどの回復力をみせていた。
「リンネ、そんなに急いでどうした?」
エリックは読みかけだった本を閉じ、そうリンネに声をかけた。
「エリック様にお伝えしなければならないことがあります。
あっ、でもその前にこれを受け取ってください。
本当はもっと早くお渡しするつもりだったのですが…」
リンネがエリックに手渡したものはあの、濃紺色のハンカチだった。
リンネはこのハンカチをずっとエリックに渡したいと考えていたので、自分が皇太子になったという報告よりも先にしたいと思ったのだ。
「ありがとう、これはリンネが編んでくれたんだね?
大切に使わせてもらうよ。
それで、俺に伝えたいことっていったい?」
エリックはリンネからもらったハンカチを嬉しそうに握りしめると、リンネがそこまで急いで何を伝えたいのか、続きを言うように促した。
「実は、先程国王陛下に執務室に来るように言われて行ったら、国王が私を皇太子にすると仰ったのです。
私の知らないうちに弟のクリスが廃太子になっていて、親戚に皇位継承権を譲るくらいならば、女である私に皇位継承権を譲ると言って…
本当はエリック様を婿養子として迎え入れて、次期国王にすることも考えたみたいなのですが、まだ本調子ではないエリック様を皇太子にすることはできなかったらしくて…」
本当はエリックがまた眠ってしまうことを恐れて皇太子に任命しなかったとは伝える事ができなかった。
そんなことを伝えてしまえば、まるでリンネもエリックのことを信じていないのではないかと思われてしまうことを恐れていたからであった。
「まさか、女性であるリンネに皇位継承権がまわってくるとは思わなかった…
クリスが何をしたのかは知らないが、これはチャンスだぞリンネ。
男尊女卑の考えを変えることができるかもしれない」
エリックは自分の伴侶であるリンネが皇太子となったことをまるで自分のことのように喜んでくれた。
エリックは元々リンネには誰よりも政治能力があると思っていたので、このことを心から喜ぶことができたのであった。