おてんば姫の手なずけ方～侯爵の手中にはまりました～
「そのクリスという男はまだ少年だったよな？」

「あぁ、あんたよりも全然若いように見えたな」

エリックもクリスという名前の男が思っていた通りの人、リンネの弟だと知り怒りを抑えられなかった。
あまりの怒りから、手を握りしめ座っていた床を思いきり殴りつけてしまった。
もう一度殴ろうとしたときに、リンネに止められエリックは反対の手で自分の手を掴んだ。

「おばあちゃん、いつ頃皆は連れていかれたのですか？
あと、どこに連れていかれたとかってわかります？」

「連れていかれたのはもうずっと前さ…
もう１年以上は経っているかな。
どこに連れていかれたのかはわからないさ…
何回かに分けて商人みたいな男たちが連れていったのだから…」

既に１年は経っていると言われ、連れていかれた人を探すのは到底できるようなものではなかった。
しかし、リンネは必ず探しだすとおばあちゃんに約束したのだった。

ふたりは話をしてくれたおばあちゃんに感謝の言葉を述べると、家をあとにした。

他にも何件かの家をまわって話を聞いたが、収穫は特になく、クリスが人を連れていってしまったということだった。

再び、アッサム地域の入り口に停めてあった馬車に戻ってきたふたりだったが、行きの時とはうってかわって馬車の中はぴりぴりした雰囲気だった。
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