おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
各地に早馬を送ってから数日後、3カ所から有力な情報を得ることができた。
ひとつ目は国の北部にあるスーラ村からで、以前大量の鉱夫がやってきたという情報だ。スーラ村にはここでしか取れないとされている希少な原石があるといわれているのだが、まだ王家が管理せずに地方貴族に管理させている、いわゆる未開拓の地だった。

ふたつ目が国の西側にあるエメという地域からだった。このエメという地域は以前から山が周囲に広がっており、雄大な自然が楽しめるところだった。しかし近年では森林伐採がどんどん進み、そこに暮らす人の生活に支障が出ているというものだった。森林伐採をしている人たちはいかにも奴隷というような風貌で、毎日朝早くから日が沈むまでほぼ休憩なしで働かされて、日が沈むと集団でどこかに帰っていくという報告が上がっていた。

最後が隣国、サハール皇国との国境地点から寄せられたもので、およそ1年前に若い女性がエルディール王国からサハール皇国に入国するのを見たことがあるという人物がいるとの報告だった。
< 60 / 154 >

この作品をシェア

pagetop