おてんば姫の手なずけ方～侯爵の手中にはまりました～
翌日、リンネたちは丸１日を使って実際に森林伐採が行われている状況を見ようということで意見が一致した。

朝早くから作業しているという報告を受けていたので、なるべく奴隷とされている人たちが来る前から視察を開始しようということになっていたが、視察を開始したときには既に森林伐採が始まっていた。

「嘘でしょ…
まだ朝の６時だよ……
この時間から始めてるってことはいったい何時から視察すればいいの…」

「ほんと、そうだな…」

まさかこの時間から作業が始まっていると思ってもいなかったリンネたちは驚いていた。

「ブラン、あなたに頼みたいことがあるの。
あの人たちがどこに帰っていくのかをばれないように着いていって見てきて欲しいの。
ばれないようにだから一番小柄なあなたにお願いしたいんだけどどうかしら？」

リンネは状況変更と言わんばかりにどこに帰るのかを見てきて欲しいと護衛のひとり、ブランにお願いした。
ブランは「かしこまりました」とリンネに敬意を示して了承した。

奴隷として働いている人たちがどんなに厳しい条件で働かされているのかをしっかりと理解するため、リンネたちは朝から晩まで自分たちの食事の時間以外、ずっと森林伐採の様子を観察していた。

丸１日観察していると、３０人近い奴隷たちを支配しているのはふたりの男であるということがわかった。

そのふたりの男は手に鞭を持ち、勝手に休憩している奴隷に容赦なく鞭を振るっていた。
リンネたちが見ている場所はある程度離れているため、実際にどれくらいの人が鞭で叩かれたのかはわからなかったが、何回か鞭を振る姿を確認することができた。

「これは、ひどいな…
リンネ、もしこれがアッサム地域の人たちでなくとも、助け出すか？」

「もちろんよ、次期国王としてこの状況を見て見ぬふりはできない」

「リンネならそういうと思ってた」

リンネはこの人たちがアッサム地域から連れてこられた人であることを密かに願っていた。
もし、この人たちが他のところから連れてこられた人であるならば、アッサム地域以外でも人身売買が行われているということになり、問題は一筋縄ではいかなくなってしまうからだった。
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