おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
リンネたちは話し合いを進め、3日後に話し合いの場を設けることにした。今は相手側が話し合いに応じてくれることを願うばかりであった。
この家の主人に話し合いたいと自分たちが言っていると伝えてもらうのは可能か聞いたところ、主人はとても渋った顔をして拒絶した。あのふたりが話を聞くはずがない、自分たちは穏やかに暮らしていたいと弱弱しい声で答えた。

「無理を言っているのはわかっています。でも、どうにかお願いできないでしょうか」

リンネは家の主人に対して頭を下げてお願いした。王女が頭を下げるなど、本来あり得ないことだったのだが、リンネはそんなことはお構いなしという風に頭を下げた。

「頭を下げたって無理なものは無理です。そんなに思っているなら王女様が自ら行けばいいじゃないですか…」

「私たちだって自分たちがいけるものなら行きたいです。でもここが王都ではない以上、あまり大っぴらに動くことができないのです。私は助けたいと思っています。アッサム地域の人もエメに住んでいる人も。ここにきてからまだ雨は降っていないので直接見たことはないですけど、伐採のせいで雨が降ると少なからず水害に悩まされているのでしょう。すぐに解決することはできなくても時間をかければここも元に戻るはずです。
どうか、お力を貸していただくことはできないでしょうか」
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