おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
そして翌朝、まだ日も昇らぬうちにリンネたち一行は王都に向かって馬車を出発させた。朝早かったにもかかわらず、リンネたちを泊めてくれた主人をはじめ多くの人がリンネを見送ったのだった。

エメから王都まで長い道のりを戻ってきた一行は今回の報告をするために国王への謁見を申し込んでいた。

やがて国王が謁見の間へと姿をあらわし、リンネたちは今回の報告をした。

「ただいま戻りました。エメで不当に働かせられていたアッサムの人々を解放させることができました。しかし、まだ2か所ほど候補に挙がっている地がございますので、すべてが終わり次第まとめたうえで詳しい報告はいたします。
また、国王陛下にお願いがございます次に行くのは別のところですが、最後にサハール皇国へ向かう予定です。さすがに許可なしに他国へ行くのは気が引けるので、サハール皇国に連絡をいれてはいただけないでしょうか」

リンネの報告する態度はとても立派なものだった。決してものおじすることなく、自分の意見はしっかりと伝える、この態度は自分があったころのリンネでは決してとることのできなかったものだと、隣で頭を下げているエリックは思っていた。

「長旅、ご苦労であった。
こちらからサハールには連絡を入れておこう。また、私が書状を書いてリンネに持たせる。
これで何の滞りもなく、城にはいることもできるであろう。

リンネ、無理をするんじゃないぞ、お前は頑張りすぎるところがあるからな。
何か困ったことがあれば隣にいる婚約者を頼りなさい」

前半部分は国王として、後半部分は一人の父親として、その言葉はリンネに深く突き刺さった。

「ありがとうございます。

父上、私がこのようなことをするのを許してくれてありがとうございます。
私はこれを自分が認めてもらうための試練として、しっかりとやり遂げて見せます。もちろん、困ったことがあればエリック様に頼らせていただきます」

「あぁ、くれぐれも体調には気を付けるんだぞ。
エリック殿も娘のことをくれぐれもよろしく頼む」

「もちろんでございます。
必ずお守りいたします」

リンネたちは国王に向かって最敬礼をした後、謁見の間を出て行った。
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