おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
翌朝、まだ日も昇らぬうちにアランは屋敷を出ていき、エリックはアランが屋敷を出ていくのを静かに見送った。
出ていく者と見送る者、ふたりの目にはそれぞれ涙が溢れそうだった。どちらかが泣いてしまえばその分別れがつらくなるとわかっていたのか、ふたりは精一杯涙をこらえていた。

最後、ふたりで交わした握手はなんだかまた会えるような、再会を約束したようなそんな握手だった。

アランが見えなくなったことを確認したエリックは屋敷の中へ戻り、リンネが起きるのを待つことにした。
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