おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
婚約者との出会い
午前の間は休みをもらえたので、リンネはこっそりと部屋を飛び出す計画をたてていた。
先程まで来ていたドレスを脱ぎ捨てると、クローゼットの奥に隠しておいた裾の長いドレスに着替えた。
このドレスは普通にしていては裾を引き摺ってしまうほどであったが、これは乗馬用に作られたものであったので、問題はなかった。

着替えが終わると、こっそりと部屋を出て誰に声をかけるわけでもなく厩舎へと向かった。

「こっそりと馬を貸してくれないかしら?
お昼までには戻るわ」

そう言って馬の世話をしている少年に銀貨を何枚か握らせた。
少年は「わかりました」と小さな声で答えると、栗毛の馬に馬具をつけはじめた。

「この馬は比較的大人しいのでリンネ様でも問題はないかと思われます」

「ありがとう、それじゃあ行ってくるわね」

渡された馬に軽々と乗ると長居は無用と言わんばかりに裏門から城下の方へ向かって馬を走らせていった。
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