君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―


「じゃあ、タケ。明日ライブだろ?
早く帰れよ。気をつけてな」


「………うん」


「じゃ。明日、茜と一緒に見に行くから、がんばれよ」



「―――待って!」




 本当にそのまま、俺に背を向けて帰っていきそうだった創を、俺は気がついたら呼び止めてしまっていた。

 

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