君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
 
 そのとき、ふと。俺は見てしまったんだ。

 俺は馬鹿だから、ついいつもの調子で。

 
 そしたら居たんだ。

 ――最前列に、屈んで手を伸ばしたら、さわれそうなほど近くに。



 いつもどおりの笑顔の、茜と創が。


 そこに当たり前の日常の延長線のように、存在していたんだ。




 
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