君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
Side S 【急転】
「創!茜、俺今日練習ないんだっ。だから、一緒帰ろ!」
そう言いながらおれたちの教室に飛び込んできたタケは、茜の勉強道具なんて一切入ってない、軽い鞄をひったくった。
「ほら、早く帰ろうよ、俺今日マック行きたいなぁ」
「ったく、そんな急がなくてもいいだろうが。ちょっと待てって」
茜がタケの額に軽くでこピンを食らわしているのを見て、おれの頬は自然に緩む。