君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

***




「茜!茜、待って!」


 俺はずかずかと歩いていってしまう茜を必死に追いかけた。

 俺の声は、きっと聞こえているはずなのに。茜は立ち止まることも、速度を緩めることもしてはくれなかった。


「もう、茜!待ってったら!」




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