君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

 なんだが、すごく創の背中が、その横にいる茜の笑顔が、非現実的なものに思えてしまって、俺は。

 今、茜の近くにいるのは、この俺なのに。


「……タケ、体調でも悪いのか?」


「―――ううん、そんなことないよ。ごめんね、茜」


「――そっか?ならいいんだけど。無理しないで、俺に言えよ?」



「――――――ありが、とう」




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