君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―








「―――これに決めた!」


 美羽が鳥かごをモチーフにしたシルバーのネックレスを嬉しそうにその顔の前で掲げて見せた。
どうやら買うものが決まったらしい。


「買ってあげるよ。鳥かごの方でいいの?」


 おれの言葉に美羽は最初遠慮していたが、おれがもう一度勧めると、幸せそうに笑って頷いた。


「――ありがとう、創。大事にするね」


「そんな高いもんじゃないし」


 2千円程度のもので、買ってやるといったのも本当に自分の気まぐれだ。

 それなのに、こんなに嬉しそうに笑われると、なんだかくすぐったいのと同時に募ってくるのは、やはり小さな罪悪感だった。
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