君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
「ね、創。創、好きだよ」
「――――おれも、美羽が好きだよ」
美羽は良く、おれに「好き」だと言う。
それは、そういえば返ってくるであろうおれからの返事を、愛の言葉を期待しているようで、おれはそんな美羽を不憫に思った。
美羽の気持ちに、いつの日か追いつけばいいと思う。
俺の「好き」が。
そして、いつの日か自然に美羽に「好き」だとおれから囁いてやれたらいいのにと思う。
きっと、これだけは少なくとも、今のおれにとっては本当だった。