君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
「……どうも」
「って、それだけ!?」
だって、言うことねぇよ。こっぱずかしい! 照れを誤魔化してか、乱暴に茜が言う。
宥めるように、茜の肩を叩いたタケの顔は、驚くほど穏やかで、幸せそうだった。
「ふふ、なんか楽しそうだね。
ね、――創?」
そのやり取りが面白かったのか、どっと沸いた会場と同じ様に、美羽が笑う。一瞬遅れて、おれは相槌を打った。
そのおれの顔は、幸せそうなものになっているのかな、と思う。