君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

「……どうも」


「って、それだけ!?」


 だって、言うことねぇよ。こっぱずかしい! 照れを誤魔化してか、乱暴に茜が言う。

 宥めるように、茜の肩を叩いたタケの顔は、驚くほど穏やかで、幸せそうだった。




「ふふ、なんか楽しそうだね。
 ね、――創?」


 そのやり取りが面白かったのか、どっと沸いた会場と同じ様に、美羽が笑う。一瞬遅れて、おれは相槌を打った。

 そのおれの顔は、幸せそうなものになっているのかな、と思う。



< 251 / 395 >

この作品をシェア

pagetop