君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―


 そのまま、茜から逃れるように、自分自身から逃れるように。

 おれは美羽にキスを降らせた。


 照明が絞られた会場。またタケのバンドの曲が流れ出した。

 なんだか、もう。逃げ出したくて、しょうがなかった。
 おれは。いったい、何をしたいのだろう。



 願っていたのは、なんだった?







 

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