君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
そう、ともう一度茜は呟いた。
まるで神聖な神の名を呼ぶかのように、震えているはずの茜の声は綺麗で、透明に思えた。
「俺が、茜が女の子だっていうこと、思い出させてあげるよ」
茜の中に、俺がどれだけ存在しているかも分からない。
茜の目に俺が映っているのかどうかさえわからない。
ただ、今俺の目の前に、茜の身体があって、俺が茜を押さえつけていて、茜が怯えていると言うそれだけが事実だった。
これは、必要なんだ。
そう、これは儀式だ。
茜を女の子に、するための。