君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

 すぐにそっか、じゃあしょうがないね。無理言ってごめん。と返事が返ってきた。

 美羽が悪いわけじゃないのに。とおれは謝ってくる美羽に勝手な苛立ちを覚えた。


 本当に、自分勝手で、おれは弱かった。

 おれと美羽の距離が詰まらないことにさえ、おれの一言一言に美羽が気を使うことが原因だとさえ傲慢にも思っていた。

 美羽は、とてもおれに気を使ってくれていた。

 それは、おれに嫌われることを怖がっているようで、おれに愛されている自信が全く無いことの表れに違いなかったのに。

 おれには、それさえもいらつきの材料になることが多々あった。

 茜にあたれないストレスをすべて美羽にぶつけてしまっていたんだ。

 大事にしたかった、はずなのに。
 好きになってやりたかった、はずなのに。

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