君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―






 枕元で、携帯電話の振動音が聞こえて、おれは目を覚ました。
 午前3時。
 茜からの返信を気にしないようにしようと布団に包まって、知らない間に眠ってしまっていたみたいだった。

 携帯電話を開くと、そこには茜の名前が表示されていた。
 既に振動が鳴り止んでいたそれは、今まさに切れたところのようで、おれは慌ててかけなおした。
 たっぷり5コール呼び出し音が続いた後、それはつながった。

 けれど、向こうからは何の反応もなくて、

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