君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

 それは、茜がなんでもないというのなら、言うまで待とうと思う気持ちと、そしてもうひとつは怖かった。

 茜が、こんな不安そうな声を出している原因を知ることが、怖いと思ってしまったんだ。



「……なぁ、そう。ひとつ、聞いてもいいか?」


「ん、なに?」


 おれの声は、震えても、強張ってもいなかったと思う。けれど怖くて怖くてしょうがなかった。


「……俺って、男だよな。そうにとっての俺って、どんな、存在?」


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