君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
ためらいがちにつむがれたその声は、震えを押し隠そうとしてか、ひどく硬いものだった。
おれの呼吸は、一瞬、止まった。
それは誇張でもなんでもなく、本当に。
ふ、と息を再開した直後、頭はがんがん、警告音のように鳴り響いていて、携帯電話を持つ手は、細かく震えていた。
それは、いったい、なんで。
「……なんで、そんなこと聞くの?」
「いや、本当になんとなく、聞いてみたかっただけなんだ!
うん、ただ俺とそうもさもう、ずっと長いこと一緒にいるよなって思って。
俺はそうのこと、すごく大切で親友だと思ってるんだ。
そうは俺のこと、どう思ってるのかな、って。そう思っただけで」