君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
そんなその子どもを守るためにはおれたちが「男同士」であることは必要だった。
自分の性を拒絶したあのときの茜の慟哭を、おれは忘れることなんて、出来ない。
だから、おれはあの時、誓ったんだ。
ずっと、茜の隣にいて、守ってあげようって。
今まで茜に助けられたお返しになんてならないかもしれないけれど、ずっと傍に居ようって。
そのためには、「男」じゃないといけなかった。男と女なら、いつか必ず別れが訪れてしまうとおれは思っていた。
だから。