君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
対峙





 翌日、茜は昼休みに学校に来た。

 ふら、と教室に入ってきた茜は今にも倒れてしまいそうで。


 おれは読むともなしに開けていた参考書もそのままに、茜の傍に駆け寄って、その肩を掴んだ。
 それは本当に、他意なんて、なくて。

 ただ青ざめた顔をしていた茜が心配だったから自然に出た行動だったはずなのに、茜はさらに顔色を悪くして、びくっと、大きく身体を震わせた。


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