君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
ひどく、嫌な予感がした。
おれは今、しっかりと笑えていたのかどうかも、自信が無い。
こんなことは、最近はずっと、なかったはずだ。
茜は確かに突然人に肌を触られることを嫌う。
けれど、それは。いわゆる茜の過去のトラウマが原因で。
それもずっと、ましになってきていたはずだった。
とりわけ、おれだけは、触れても大丈夫だったはずなのに。
何があったんだ、と思うよりかはおれの中で急速に膨れ上がってきたのは怒りに近かった。
何をしたんだ、タケ。
タケ、なぁ。おれ、言ったよな。
茜を傷つけるようなことだけはするなって、そう言ったよな。