君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―






「―――おれは、おまえや茜の優しいおにいちゃんなんかじゃ、ねぇよ」


 そのままタケの身体を壁に押し付けた。鈍い音がして、タケが顔を眇めたのにも気付いていたが、そんなこと、このときのおれにはどうでもよかった。


「なぁ、おれ言ったよな? 茜は男だって。
 茜を傷つけるなって、おれ、そう言ったよな?」
 


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