君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
タケは迷うようにおれから視線をはずそうと俯いた。けれどぱっと顔を上げた。
それはもう、先ほどまでのどこかうつろな瞳とは違っていて。
「だって、」と小さく呟くように言って、そのあとはじけるようにしゃべり出した。
「だって、俺茜が好きだったんだ。好きだったんだよ。
本当に幸せにしてあげたいって思ってた。でも、茜は女の子なんだよ。
だから、茜は女の子に戻らなきゃ幸せに、なれないんだ!」
「ふざけんな! そんなこと、茜が言ったのかよ! あいつが望んでたのかよ!
仮にそうだとしても、好きだから何していいってわけじゃ、ないだろうが!」